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読了:キャッシュフロー計算書の基本がわかる本

最近、簿記の知識を深めようと思って、勉強をしています。 日商2級は持っているので、1級レベル・・・といいたいところなんですが、 キャッシュフロー計算書をもう一度1から学びたいと思って、本を買いました。

キャッシュフロー計算書とは> 上場企業など、金融商品取引法が適用されている企業に作成が義務付けられている 財務諸表。ごくごく簡単に言えば家計簿の収支のようなもの。

買った本は、「キャッシュフロー計算書の基本がわかる本 決定版」 中小企業診断士の高橋香という方が書かれた本です。

内容自体は、簿記をやっていて、損益計算書と、貸借対照表が 作れるようなレベルの人ぐらいなら理解できるかと。

1990年代後半から会計ビックバンが起きて、連結やキャッシュフロー計算書の作成基準が 作られ、2000年に上場企業にキャッシュフロー計算書の作成義務が導入。 そして2006年に商法が会社法になり、2007年には証券取引法金融商品取引法に変わるなど、会計の世界は変化が止まらないですね。 (原価計算基準は見習ってほしいw)

会社法によって、 ・貸借対照表 (企業の財政状態を見る)→どのくらい資産・負債・純資産があるか ・損益計算書 (企業の経営成績を見る)→どのくらい利益が出たか ・株主資本等変動計算書 (株主資本の変動を見る)→どのように株主資本を動かしているのか が決められました。 そして、金融商品取引法によって、 ・キャッシュフロー計算書 (企業のキャッシュの変動を見る) →金が増えたのか減ったのか、 その金はどこから生み出された金なのか。 を対外的に示すことになりました。

私自身、数年前からキャッシュフロー計算書を勉強していて、作れるレベルだが、 簿記の教科書には、「問題を解くための方法」しか書いておらず、意義や背景が見えなかった。 この本は、キャッシュフロー計算書とは何か、②どうやって見るのか、 ③どう作るのかがちゃんと書いてある。(DCF法による企業価値評価法も載っている) 中でも、③のどう作るかということに関しては、企業という大きな単位ではなく、 個人レベルに置き換えてキャッシュフロー計算書を作っているので、読者が それを元に作ることもできるので、理解しやすい。ただ、やはり企業ベース で作り方を書いてほしかった。具体的にどのような情報が必要なのかとか、 詳細な作り方が書いてあると尚更良かったのではないかと思う。

読み終わっての感想。 損益計算書の利益というものは、会計基準という枠組みの中でいくらでも操作が 出来てしまうので、恣意性が高いが、キャッシュフロー計算書は、誰が作っても 結果(キャッシュの増減)は同じになるので、客観性に長ける。 行き過ぎた利益操作は粉飾になるが、減価償却を定率法か定額法かにするなどの 方法なら、粉飾にはならないから、うまくいけばごまかせる。キャッシュは誰が数えても一緒 になるから、ごまかすという概念がないはずだ。 「利益は意見、キャッシュは現実」といわれるのは、これが理由。

「利益」という会計基準によって作られた数字よりも、「収支」という数字のほうが 透明性が高いのはずっと前から分かっていたはず。 こういうことを言うと、「じゃあ損益計算書いらないじゃん」ってことになるが、 まあ確かに一理ある意見だと私は思う。「企業の目的は利潤を上げること」とよく言われるが、 結局は「金儲けをすること」。これに尽きる。 損益計算書によって導かれるのは形のない「利益」であって、形のある「金」 じゃない。金にならなきゃ意味がない。

ちょっと荒い言葉づかいになってしまった。 閑話休題

今までの投資の中で、1番大きな判断材料として君臨していたのが「利益」。 ただ、黒字倒産や、粉飾決算が明るみになっていくなか、やっぱり金だよね ってなり、「キャッシュ」を見るための書類が必要になってくる。そうやって 生み出されたキャッシュフロー計算書に書いてある数値が、今や利益と並ぶ 投資材料の1つとなってきている。

損益計算書がだめとは言わない。利益は意見なのだから。 意見がなくては何も進まない。ただ、キャッシュフロー計算書は、企業の現実を より詳しく示すための一番有用な財務諸表だと私は思う。 本のタイトルどおり、この本で「キャッシュフロー計算書の基本」が分かった。 ここから先は、ほかの書籍等を参考にする必要性があるだろう。 簿記に興味がある人は、手に取ってみると、知識の幅が広がるかもしれない。