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真の値を求めて その1

今回の記事は覚え書きです。 これからの決算報告でとっても重要な内容なので。

この前の更新で、4~6月の決算報告をした。 その中で、写真データの一番下に、キャッシュフロー計算書のデータを載せた。 キャッシュフロー計算書も、営業CF、投資CF、財務CFのそれぞれの合計しか 載せていないので、見る人からしたら何も変わっていないのだが、実は ある点を変えている。 それは、今年度の決算からキャッシュフロー計算書の表示方法を間接法から 直接法に変えたことだ。 (え、なにそれ?って思った人は会計を勉強してもいいかもしれない)

会計をある程度知っている人なら、わざわざ間接法から処理の煩雑な直接法に 切り替える意味はないと思うだろう。むしろ、間接法のほうが利益との関係性が 見えて分かりやすいし、一般企業で直接法を使ってる企業なんかごく少数だ。

さて、今回はなぜ直接法に変えたのか、そしてこの記事は覚え書きなので、 どうやって直接法のキャッシュフロー計算書を作ったかを書いていく。

まず、直接法に変えた理由。 一般的に、キャッシュフロー計算書を直接法で作ると、以下のようなメリットが あるといわれている。 ・直接法は、現金取引の総額で各項目を記載するので、今年度はどこからいくら 収入があったのか、どこにいくら使ったのかが分かりやすい。 要は、収入と支出の差でキャッシュフローを導き出すってこと。収支表とほぼ一緒。 ・どのくらい使うのかが分かるので、将来的な予測にも対応できる。 これらの理由から、IFRS国際財務報告基準)の委員会では、直接法を 採用することが進められている。

当然、メリットがあるならば、デメリットがある。 ・冒頭でも述べたとおり、直接法のキャッシュフロー計算書は、現金で取引した すべての取引データを科目別、収支別、営業・投資・財務のCF区分別に集計して 表示しなければならないので、作成に膨大な時間がかかるのである。 ・利益とキャッシュフローの関係性が分かりにくい

このくらいだろうか。 ただ、今回私が直接法に変えた理由は、これらのメリットがあるからではない。 それは、表題のとおり、「真の値を求めて」ということだ。 どういうことかと言うと、我が会計では、間接法と直接法で営業CFが一致しなく なる問題があるということだ。(たぶん私の能力不足が主な原因だろうが。)

会計を勉強した人なら、直接法でも間接法でも営業CFの合計は変わらないはず。 と考えるはずだ。 しかし、ここに、企業会計と我が会計の差が生まれるのだと私は思う。

今年の2月ぐらいに、「9月と12月の比較」という記事を書いたと思う。 その中で、「受贈益」という勘定を設けていることを書いた。 策定した会計基準では、非現金物を受け取った時に計上する特別な勘定として 適用している。 昨年度は、主に固定資産の受け取りや、商品の受け取りに対する貸方勘定科目 として使われるケースがほとんどだった。 さらに、消耗品については、未払金で後でまとめて払う形式を採用していること も書いた。また、消耗品費は60%償却法を採用していることも書いた。

ここからは、これらがなぜ営業CFの差を生むのかについて書こうと思う。

まず、受贈益から。商品を受贈益で計上すると、その分の支出(キャッシュアウトフロー)は 発生せずに商品が増えることになる。 (借方) 仕入 xxx    (貸方) 受贈益 xxx そして、決算時に、受贈益で仕入れた商品が期末在庫として残ると、それらは 棚卸され、正しい売上原価を算出するために、繰越商品勘定へと移される。 代表的なのは、下のような仕訳だろうか。 (借方) 仕入 xxx    (貸方) 繰越商品 xxx 繰越商品 xxx      仕入    xxx 俗に言う、「しーくりくりしー」だ。 (そういえば、私が通っていた某高校では、これを仕入繰商繰商仕入っていう 先生がいた。あれはなんだったんだろう。)

そして相手勘定である受贈益は特別利益の勘定なので、損益計算書で 算出される当期純利益に内包される。

この時、支出がないのに、商品(資産)が増え、受贈益によって利益(→純資産) が増えるという状況が出来上がる。 そして、間接法でのキャッシュフロー計算書作成時に、非キャッシュ取引項目 (主に貸倒引当金繰入と減価償却費)が加算され、さらに「営業CF」であるため、 販売費および一般管理費より下の科目は一旦すべてなかったことにする処理 が行われる。 この時、特別利益で計上されていた受贈益が控除されてしまう。 しかし、その下で求められる、棚卸資産の増減内には、受贈益で計上した 支出を伴わない商品の増加が含まれてしまうため、ここで1つ目のずれが 生じてしまうのだ。

まだ問題はもう1つある。それは、受贈益が投資CFまでゆがめてしまうことだ。 ちょっと前で書いたとおり、受贈益の主な使い道は固定資産の受け取りである。 投資CFの内部に、有形固定資産の購入による支出という項目がある。 ここに、有形固定資産の増加分をそのまま記入してしまうと、消耗品と 同じように、支出を伴わない有形固定資産の取得が含まれてしまうのである。

さらに、我が会計の問題として、固定資産の買い替えの多さが挙げられる。 すると、固定資産の残高は、一般企業よりめまぐるしく変動する。 変動した時には、その固定資産が現金で買ったものなのか設備未払金 として債務にしたのか受贈益でもらったものなのか、それとも複合要因なのか という要因的問題、さらには、その固定資産は前期からあるのか当期に導入 したのかという時期的問題などの諸問題を逐一分析しないといけなくなる。 これはとても面倒だ。

受贈益が絡んでいる勘定を洗い出して除外すればよいと思う方もいるとは 思うが、これらを1つ1つミスなく直すのは極めて難しいのである。 もし仮に、除外したとしても、営業CFと投資CFのどちらも合っているという 確証にはならない。それでは決算書として認められる物にならないし、 そんな決算書で将来が予測できるわけもない。

我が会計の場合、間接法で算出するにはこのような処理が必要になってくるのである。 だったら、キャッシュフロー計算書で現金として扱う科目の総勘定元帳の 取引データをすべて集めて算出した方が速いし、「真の値」になるの ではないか(=直接法がいいんじゃないか) と思ったのである。 さて、じゃあどうやって作ったのか・・・って話になるのだが、私の悪い癖で、 話がめちゃくちゃ長くなったので、次の回にしたいと思います。

編集後記 いい加減話長いのをどうにかしないとやばい(・・;)